【簿記1級】正常配賦額

工業簿記

皆さん、こんにちは。こんばんは。

いかがお過ごしでしょうか。本日は工業簿記の分野から「正常配賦額」について勉強しました。

正常配賦額とは

正常配賦額(せいじょうはいふがく)とは、製造間接費を製品や部門に配賦する際に、基準操業度に基づいて計算した配賦額のことです。

主として、製造間接費の予算や標準原価を算出する際に用いられます。

そして、基準操業度とは、製品を生産するために必要な操業度(機械稼働時間や直接作業時間など)の目標値で、予算や過去の実績などから決められます。

うみおん
うみおん

名前は似ていますが、「正常配賦額」と「実際配賦額」は違うものであることに注意しましょう。

正常配賦額と実際配賦額の違い

  • 正常配賦額
    上記の通り、予算や過去の実績などから決められる「基準操業度」に基づいて計算した配賦額です。
  • 実際配賦額
    製品の生産に実際に必要となった操業度である「実際操業度」に基づいて計算した配賦額です。
    実際操業度は、製品の完成数や機械の稼働時間などから求められます。
    また、実際配賦額は、製品の実際原価の一部として計上されます。
うみおん
うみおん

「予測」か「実際」かで、「正常配賦額」か「実際配賦額」かが区別できそうですね。
ちなみに、正常配賦額と実際配賦額との差を「配賦差異」と呼びますので、一緒に覚えておきましょう!

正常配賦額の計算例

以下のような場合を考え、製品Aと製品Bの正常配賦額を求めてみましょう。

例題
  • 製品Aと製品Bを生産する工場があります。
  • 製品Aは1個あたりの標準作業時間が0.5時間、製品Bは1個あたりの標準作業時間が0.8時間です。
    製品A:0.5時間/個
    製品B:0.8時間/個
  • 工場の基準操業度は月間1,000時間とします。
  • 工場の製造間接費の予算は月間300,000円とします。
  • 工場の製造間接費の配賦基準は直接作業時間とします。

この場合、予定配賦率は以下のように求められます。

予定配賦率

予定配賦率=製造間接費の予算÷基準操業度

     =300,000円÷1,000時間=300円/時間

そして、正常配賦額は以下のように求められます。

正常配賦額

・製品A
正常配賦額予定配賦率×1個あたりの標準作業時間
     =300円/時間×0.5時間/個=150円/個

・製品B
正常配賦額予定配賦率×1個あたりの標準作業時間
     =300円/時間×0.8時間/個=240円/個

以上のように、正常配賦額は、製品の標準作業時間に予定配賦率を掛けることで求められます。

うみおん
うみおん

さらに具体的に〇〇個という情報も加わると、▲▲円/個 × 〇〇個 = ◇◇円と計算できますね!

過去問

第146回簿記1級過去問題 工業簿記 第1問 問1 より一部抜粋

第1問 [資料]
1. 予定配賦率
 第1製造部:750円/時間
 第2製造部:800円/時間

5. 当月実際直接作業時間(単位:時間)

製品A製品B
第1製造部1,190605
第2製造部810915

問1 製品Aへの正常配賦額を計算しなさい。

 

回答を見ていきましょう。

製品Aへの正常配賦額(予定配賦額)

(各製造部の製品Aの予定配賦率×各製造部の製品Aの実際直接作業時間)の合計=製品Aへの正常配賦額(予定配賦額)

第1製造部:750円/時間×1,190時間=892,500円
第2製造部:800円/時間× 810時間=648,000円

合計:製品Aへの正常配賦額   1,540,500円

答えは

1,540,500円

最後に

さて、正常配賦額について勉強しました。

改めて、「正常配賦額=予定配賦率×標準作業時間」の式をしっかり覚えておきましょう。また、単位を覚えておくだけでも、「(円)=(円/時間)×(時間)」から、問題文にあるどの数字を使用すれば円の単位になりそうかで、おおよその検討を付けられると思います。引き続き頑張りましょう。

 

※ちなみに
私は下記の教材のみで勉強しております。

合格するための過去問題集 日商簿記1級 ’24年6月検定対策(TAC出版)

解説が丁寧で大変わかりやすいです。
今後も少しずつ教材を追加予定です。

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参考にしたWebサイト

最後に、本記事を執筆するに当たって参考にしたWebサイトを記します。

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