【税理士(簿記論)】製造業の売価還元法を原価率の「分子と分母」から計算例でわかりやすく解説

こんにちは、うみおんです🐶

前回の決算集合勘定に続いて、今回は製造業の「売価還元法」です。商業簿記の売価還元法は覚えたのに、製造業になると原価率の式が変わって戸惑いますよね。

実は、仕掛品と製品のBOXを合わせて考えると、式の意味がすっきり見えてきます。計算例で一緒に整理していきましょう✨

📌 この記事の要点

  • 製造業では期末仕掛品と期末製品の両方に売価還元法を使う
  • 期末仕掛品の売価=完成時の売価×加工進捗度
  • 原価率の分母は「売上高+期末製品売価+期末仕掛品売価」
  • 当期製品製造原価と売上原価は最後に差額で求める
目次

1. 製造業の売価還元法とは?評価する2つの在庫🏭

製造業でも、棚卸資産の評価方法として売価還元法を使うことができます。

商業との大きな違いは、評価の対象が

期末仕掛品と期末製品の2つになる点です。

1-1. 商業の売価還元法との違い

まずは商業と製造業の違いを表で比べておきましょう。

項目 商業 製造業
評価する在庫 期末商品 期末仕掛品・期末製品
原価率の分子 期首商品+当期仕入(原価) 期首仕掛品+期首製品+当期総製造費用
原価率の分母 受け入れ側の売価 払い出し側の売価

1-2. 期末仕掛品の売価は「進捗度」で調整

期末仕掛品は作りかけなので、そのままでは売価が付いていません。

そこで、完成したときの売価に加工進捗度を掛けて、仕掛品の売価とみなします。

🧮 期末仕掛品の売価

  • 期末仕掛品の売価=完成時の売価×加工進捗度
  • 完成時の売価=期末仕掛品の数量×完成品1個当たりの売価

なお、ここで扱うのは材料も加工の進み具合に応じて投入されるケースです。材料が始点投入だと計算がかなり複雑になるため、試験でも通常はこの前提で出題されます。

うみおん

うみおん😉

「完成時の売価」と書かれていたら、まず加工進捗度を掛ける。この一手を習慣にしておくと、ひっかけにかからなくなりますよ。

2. 原価率の考え方:仕掛品と製品のBOXを合算🧩

製造業の原価率がなぜあの形になるのか、BOX図で考えてみましょう。

2-1. 2つのBOXを合わせると完成品原価が消える

仕掛品BOXの貸方と製品BOXの借方には、どちらも「当期完成品原価」が出てきます。

2つのBOXを合算すると、この完成品原価が貸借で相殺されます。残る項目は次のとおりです。

借方(インプット) 貸方(アウトプット)
期首仕掛品 売上原価
期首製品 期末仕掛品
当期総製造費用 期末製品

2-2. 売価はアウトプット側で対応させる

商業なら、受け入れ側(期首+仕入)の売価で原価率を出しました。

しかし製造業では、材料費・労務費・経費に売価を付けるのはとても困難です。人件費に売価があるかと聞かれると、答えに困りますよね。

そこで、

アウトプット側の原価に売価を対応させます。売上原価には売上高、期末製品には期末製品売価、期末仕掛品には期末仕掛品売価が対応します。

📐 製造業の原価率

  • 分子:期首仕掛品原価+期首製品原価+当期総製造費用
  • 分母:売上高+期末製品売価+期末仕掛品売価
  • つまり「インプット原価÷アウトプット売価」

3. 計算例で確認:原価率から売上原価まで📝

ここからは数値で流れを確認します。資料は次のとおりです(単位:円)。

項目 金額
期首仕掛品原価 100,000
期首製品原価 140,000
当期総製造費用 480,000(材料費240,000・労務費144,000・経費96,000)
製品売上高 680,000
期末製品売価 160,000
期末仕掛品の完成時の売価 120,000(加工進捗度50%)

3-1. 原価率を求める

まず期末仕掛品の売価は、120,000×50%=60,000円です。

分子は100,000+140,000+480,000=720,000円、分母は680,000+160,000+60,000=900,000円です。

したがって、原価率は720,000÷900,000=

0.8となります。

3-2. 期末在庫・製造原価・売上原価

項目 計算 金額
期末仕掛品原価 60,000×0.8 48,000
期末製品原価 160,000×0.8 128,000
当期製品製造原価 100,000+480,000-48,000 532,000
売上原価 140,000+532,000-128,000 544,000

売上原価544,000円は、売上高680,000円×0.8とも一致します。検算に使えるので覚えておくと便利です。

⚠️ よくあるひっかけ

完成時の売価120,000円をそのまま分母に入れると、分母は960,000円、原価率は0.75になってしまいます。加工進捗度を掛けた60,000円を使うのが正解です。

✅ 解く順番のコツ

①期末仕掛品の売価 → ②原価率 → ③期末仕掛品・期末製品 → ④当期製品製造原価 → ⑤売上原価の順に進めると、迷わず解けます。

うみおん

うみおん📝

原価率の計算だけでは当期製品製造原価は出てきません。最後に仕掛品BOXの差額で求めるのを忘れないようにしましょう。

4. よくある質問(FAQ)❓

Q. 製造業の売価還元法では、何を評価するのですか?

A. 期末仕掛品と期末製品の両方を評価します。どちらも「売価×原価率」で原価を求め、売上原価と当期製品製造原価は差額で算定します。

Q. 期末仕掛品の売価はどう求めればいいですか?

A. 期末仕掛品の完成時の売価に加工進捗度を掛けて求めます。資料の「完成時の売価」をそのまま使うと分母が大きくなり、原価率がずれてしまいます。

Q. 製造業の原価率の分母に、当期総製造費用の売価を使わないのはなぜですか?

A. 材料費・労務費・経費には売価を付けるのが難しいからです。そこで、払い出し側である売上高・期末製品売価・期末仕掛品売価の合計を分母に使います。

Q. 売価還元法で求めた後、当期製品製造原価はどう計算しますか?

A. 期首仕掛品+当期総製造費用-期末仕掛品で別に計算します。原価率の計算だけでは当期製品製造原価は出てこないので、最後に差額で求めましょう。

5. まとめ:インプット原価÷アウトプット売価で考える🎯

製造業の売価還元法では、期末仕掛品と期末製品を同じ原価率で評価します。期末仕掛品の売価は、完成時の売価に加工進捗度を掛けて求めました。

原価率は、仕掛品と製品のBOXを合算したときの「インプット原価÷アウトプット売価」です。BOXのイメージを持っておけば、式を忘れても自分で組み立てられます📈

うみおん

うみおん😊

製造業会計もこれでひと区切りです。計算例の数字を自分で書き出して、BOXを一度描いてみてくださいね。一緒に頑張りましょう🔥

🌟 今日のキーポイント

原価率=(期首仕掛品+期首製品+当期総製造費用)÷(売上高+期末製品売価+期末仕掛品売価)。仕掛品の売価は進捗度を掛けて求めます🔑

うみおん一言:式を丸暗記するより、BOXを合算する発想をおさえるのが近道です🐾

製造業の売価還元法のまとめインフォグラフィック:期末仕掛品と期末製品を同じ原価率で評価し、仕掛品の売価は完成時の売価×加工進捗度、原価率はインプット原価÷アウトプット売価で求めることを整理
▲ 今日のまとめを1枚で整理

※本記事は筆者自身の学習メモです。試験対策としては必ず公式テキスト・予備校教材で裏取りしてください

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この記事を書いた人

うみおんずブログ運営者|中小企業診断士|日商簿記2級|FP2級|TOEIC850|税理士試験(簿記論)の解説記事を中心に、資格の勉強をわかりやすく発信しています|趣味は旅行

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